Uターン人材が日本を変える。東日本大震災被災地で見た構図

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先日、震災から4年目にして初めて被災地でボランティアをする機会があった。行った先は大船渡市の一地区で、被害は甚大だった地域。漠然と、とても困っている方々を手助けにいくものだと思っていたのだが、現地に入って、現地の方々に接するうちに違和感を感じ始めた。

被災地の現状シナリオは自治体の崩壊

人によって状況は異なるが、平均すると現地の方々は割と現状には満足されているのだ。ある意味当然だとも思う。空気も魚も野菜もおいしいし、風景もいい、人もいいとなったら別に変化したいとも思わないだろう。

しかし、現状が続く先に見える未来は暗い。40代で「若手」と呼ばれる超高齢化社会。税金等の財源がどんどん少なくなる⇒交通や医療インフラの崩壊⇒人口減少に拍車がかかる、という負のスパイラルに陥りコミュニティが崩壊する、というのが確度の高いシナリオではないだろうか。

実際このような話は現地の方々も理解しているのだ。しかし具体的なアクションは少ない。理由はいくつかあるかもしれない。多くの高齢者の方にとっては何十年後の地元の未来に対する切迫感が薄い、震災被害者の間でも被害の度合いに濃淡があるため一体感が出ないといったことは地元の方と接する中でわかった。

しかし、一番大きな問題は外の世界を知らないことではないだろうか。まず、地元の概念がめちゃくちゃ狭い。10分車で走ったら「よそ者」の土地である。そしてその狭い範囲から出て見聞を広めるという考え方が自然には出てこない。私がボランティアに行った場所から10分のところにコミュニティビジネスで成功を収めている地区があったのだが、4年間一度も行ったことがないそうだ。当然そういった成功パターンをマネすることも今までなかった。

シナリオを書き換えるべく奮闘するUターン人材

そんな中でも、現状のシナリオを書き換えようとチャレンジされている方はいらっしゃる。企業のリソースを引っ張ってくる取り組みだったり、特産ワカメのブランド化など。そしてそのようなチャレンジャーの方々には共通点がある。一度地元を出ていることだ。東京などの都市に出て一度はサラリーマン生活を経験している。

この所謂Uターン人材が奮闘している背景は、現地にいてとても腑に落ちた。東京から来た我々から見たらいいものがいっぱいある。海産物や、風景を始めとする観光資源があふれている。しかし、我々にはそう見えても現地の方には見えていない場合がある。 私の大好物のメカブは廃棄されているそうだ。そういった現地の良さや悪さがUターン人材には見えるのである。

国のスケールで見てみても

さて、この話は日本という国のスケールでも当てはまるのではないか。

個人的な体験であるが、留学のため空港についた日に白人警官に呼び止められてパスポートの提示を求められたり、その場にいた韓国人と仲良くなったりする中で、「お前は誰だ?」という質問に対して、まずは「日本人である」と説明する自分自身に驚いた。当たり前だが、自分自身が日本人であることを説明する機会など今までなかったのだから。

日本の国内市場は縮んでいく。それを補完するのは海外市場であり、そこで売れるものは究極的には日本の良さが出るものだ。地元の良さを発見するには地元を出るしかない。日本の良さを発見するには日本を出るしかない。