今更聞けない東南アジアニュース。マレーシア政治スキャンダルの震源「1MDB」とは

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BN-JH054_1mdb_G_20150708014549 「1MDB」。毎日必ずニュースや会話にでてくる単語だ。このホットトピックをマレーシア人の視点から紐解いてみたい。

そもそも「1MDB」とは?

「1マレーシア・デベロップメント(1MDB)」は海外からの直接投資の誘致を加速化し、マレーシアの経済を活性化させるために2009年にマレーシア政府100%出資の国有投資会社として設立された。
クアラルンプールを「イスラム金融のロンドン」にしようと、多くの外資企業を誘致したり、日本の輸出入や海外での経済活動促進のための銀行国際協力銀行(JBIC)と「1MDB発行サムライ債」を発行する話や、三井物産と世界最大級の石炭火力発電所を1MDBと共同で建設する話など積極的に進めてきた。
マレーシア政府の「全面的な信用保証」を武器に、積極的な資産取得の結果、債務が急増。設立から6年足らずで約420億リンギ(約1兆4000億円)の巨額の借金を抱えていることが発覚。
多数のメディア、野党からの突き上げもあり、厳しい政治的圧力がナジブ首相に押しかかる。
さらに、ウォールストリート・ジャーナルが「ナジブ首相の個人口座に1MDBの資金の約26億リンギ(約830億円)が支払われた」と報道し騒動はさらに悪化。

いま何が起こっている?

96958A9F889DEAEAEBEBE2E0E6E2E2E5E2E5E0E2E3E7E2E2E2E2E2E2-DSXMZO8898949007072015000002-PN1-6 ナジブ首相の不正送金疑惑が深刻な事態を引き起こしている。
7月7日。マレーシア警察がマレーシア政府系ファンドを家宅捜索。
7月8日。関連する6つの銀行口座を凍結したと発表。
7月9日。マレーシアの通貨のリンギが、1990年代のアジア通貨危機の直後の水準まで下落。

マレーシア人はどう思ってる?

bmpt_02凍結した口座のひとつは、ブミプトラを対象に学生を支援する「MARA」と言われる政府機関の口座。
マレー系に奨学金など学費や生活費を支援していたが、1MDBの口座が凍結したことから、MARAの支援もストップしたようだ。あるデザイン学校では、30%〜40%がMARAの奨学金制度で入学し授業を受けているなど教育の領域まで影響が及んでいる。
学校の関係者は「教育と医療はこの国の将来だ。それを止めるようなことは絶対にしてはいけない。」と話した。

消息を絶ったマレーシア航空機、4月から導入された消費税(GST)による景気減速の懸念、今回の1MDBの騒動などマレーシア全体が不安と混乱に覆われているなか、企業や学校は自国に頼らず自ら海外と連携し事業の拡充に向けた取組を進めるだろう。