【就活生必見】企業研究最強ツール:有価証券報告書を徹底活用!

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就活生のみなさんは企業研究をどのように進めているだろうか。企業研究シートなどを活用して情報をまとめることが一般的だろう。しかし、どうも見える情報が浅かったり、全体間が見えないというような悩みはないだろうか。

そこで活用を提案したいのが、「有価証券報告書」。はっきりいってこれを読み込めば、OB/OG訪問と募集要項以外のほとんどの企業情報取得は終わりだ。ただ、恐らくそもそも存在を知らなかったり、そもそもどう読めばいいのかわからないのでこれまで研究ツールとしてほとんど活用されていないのが実態だろう。本記事ではどのような情報が有価証券報告書から取得できるのか、またそれに足りない情報はどういうものか解説する。

有価証券報告書のキホン

[どういう会社が作っている資料なのか]

基本的に、上場している企業はこれを提出する義務がある。

[そもそもなんなのか]

上場している企業の株は会社の外部の人同士で取引きされるが、その際に、どんな会社で、どんな状況にあるのか、どんなリスクがあるかが分らなければ妥当な値段な株かどうかわからない。なので、法律でこういう書類を公表しなさいということが定められている。

それを作成するのは会社自身だが、嘘を記載したときの罰則は厳しく、責任者に対する刑事罰や多額の罰金が科されるため、マーケティング要素のない、ウソ偽りのない(はず)の会社の情報がここには記載されている。また、有価証券報告書は3か月に一度発表される(四半期報告書)が、年度末に発表される通年の報告書が最も情報量が多いのでこれを見るようにしよう。

[どこで見られるのか]

会社のホームページの「IR資料」(IR = Investor Relation)もしくは「株主・投資家の皆様へ」というページの中にある。どうしても見つからない場合は、法律が定める正式な掲載先であるEDINETの書類検索というところで検索してみるとよい。ただ、いかんせんわかりにくいインターフェースなもので。。どうにかならないかと昔から思っている。

[どんな情報が載っているのか]

どこの会社の有価証券報告書も、概ね下記のような構成になっている。

  1. 企業の概況
  • 主要な経営指標等の推移
  • 沿革
  • 事業の内容
  • 関係会社の状況
  • 従業員の状況
  1. 事業の状況
  • 業績等の概要
  • 生産、受注及び販売の状況
  • 対処すべき課題
  • 事業等のリスク
  • 経営上の重要な契約等
  • 研究開発活動
  • 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
  1. 設備の状況
  • 設備投資等の概要
  • 主要な設備の状況
  • 設備の新設、除却等の計画
  1. 提出会社の状況
  • 株式等の状況(株式の総数、新株予約権の状況、大株主の状況など)
  • 自己株式の取得等の状況
  • 配当政策
  • 株価の推移
  • 役員の状況
  • コーポレート・ガバナンスの状況
  1. 経理の状況
  • 連結財務諸表等
  • 財務諸表等

会社が大きくなればなるほど情報量が多く、下手すると300頁もの書類になるが、就職活動に役立つポイントに絞って解説する。

 ポイント1:企業の概況

ここでは会社のビジネスの全体像が俯瞰できるので、全部読むべきだろう。

「主要な経営指標等の推移」では過去5年※の売上や利益の推移がまとまっている。グラフにしてみて、どれくらい成長している会社なのか、安定して儲かっている会社なのか等を把握しよう。(※企業にとっての1年は12月で終わるカレンダーとは異なる場合があり正確には5期。3月末で終わる年度を設定している会社が最も多いはず)

「沿革」は会社の歴史である。これは企業HP上で直接確認できる場合も多い。

「事業の内容」は読んで字のごとく。端的に事業の内容について、文章と図で説明している。会社のビジネスの全体像を俯瞰するのに最適。特に、就活生のみなさんは消費者としてしか企業と接した経験がない場合が多いと思われるので、企業向けのサービス(to B)に注目すると企業の意外な面が見えてくるのではないだろうか。

「関係会社の状況」では、会社がどのような体制で事業を行っているのか確認できる。大きな会社ではビジネスの役割ごとに会社(子会社)を分けて、本体(親会社)からぶら下げる形をとっていることが多い。どういう役割分担をしているかを把握し、自分がどの組織に属することになるのか意識しよう。

「従業員の状況」では、ビジネスの区分け(セグメントという。後ほど詳しく)ごとにどの程度の従業員がいるのか、平均年齢がいくつか、平均で何年勤めている人が多いのか(勤続年数)、平均給与はいくらかがわかる。さて、厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計」によれば、2016年の日本の労働者の平均的な姿は、

  • 平均年齢:42歳
  • 勤続年数:12年
  • 賃金:300万円

産業別、企業別、性別等いろいろなデータがあるので、各社の状況がどの程度平均と違うのか、それはなぜなのか、産業全体の特徴なのか、企業文化なのか、という視点で見てみるとよいだろう。

ポイント2:事業の状況

ここでは、会社のビジネスが昨年と比べてどうだったのか、それを踏まえてどのような課題に直面しているのかを説明している。

特に着目していただきたいのが、「対処すべき課題」と「事業等のリスク」だ。ここから会社がこれからどういう戦略をとるのか、をある程度予想することができる。新卒採用を含む、人事戦略も当然会社全体の戦略に紐づいているはずなので、募集要項や会社の求める人材像と照らし合わせてみると、どういう背景でどういう人材を求めているのか理解が深まるだろう。

ポイント3:提出会社の状況

ここでは、会社がどのような力学で運営されているのか知ることができる。2点主に着目しよう。

「大株主の状況」では誰がどれくらいの数と割合の株をもっているのかを知ることができる。社長含む経営者は、株主からもらったお金で会社の価値(≒株価)を上げることが仕事なので、株主には頭があがらない。資本主義で株主は一番えらいのだ。よって、株の所有割合とはそのまま、経営への発言権の割合を意味する。ここで誰がどれくらいの数と割合の株をもっているのかを知ると会社の経営力学が透けて見えるだろう。

いくつかのパターンを挙げてみる。

  • 創業者もしくはそのファミリーが大株主

後段で出てくる社長や会長を一族の方が務めている可能性が高いだろう。その場合会社の意思決定は「鶴の一声」で決まるという傾向が強い。

  • 他社が大株主

だいたい、多くの株を持つことと役員を送ることはセットになっているため、1人-2人くらい他社出身の役員がいる可能性が高い。他社が株を持つ背景はおおむね関係の強化なので、事業上重要なパートナーでしょう。そういう意味で商社が大株主のランキングに入っているケースは多い。

  • 金融機関が大株主

経営に行き詰って、銀行等から支援を受けている可能性がある。2番目のケース同様、1人-2人くらい金融機関出身の役員がいる可能性が高い。こういう状態の会社がどのように危機に対処しているかニュースを注意してみよう。メインの事業を変えるのか、リストラするのか、事業を売却するのか。キャリア上すぐに大きな節目を迎えることになる可能性がある。なお、○○信託、○○トラストといった株主がよく見られるが、これらは単に信託銀行が資産運用のための名義を貸しているだけなので、本当の意味で発言権のある株主ではない。

「役員の状況」では、会長、社長を含む役員の役割と略歴が記載されている。観点としては大株主の状況に近いが、最近の傾向で生え抜きや取引先でない、外部から役員を招くことが推奨されているので、外部役員の割合が多いところは経営に対する意識やアンテナが高いことの一つの目安になる。

ポイント4:経理の状況

ここでは会社の財務に関する細かい情報が記載されているが、やや専門的になるので1点を除いてスキップしてもよいだろう。

注目すべき1点は「セグメント情報」。「セグメント」で書類内を検索すればいくつかの箇所に散らばっている情報を追えるはずだ。ここにはセグメントごとの売上や利益が出ているが、どの商品や部門でどれくらい稼いでいるのかがわかりる。セグメントは、事業区分だったり地域区分だったりするが、どこがエース部門(地域)なのかを把握し、そのどの部分に関わるのかを意識してみてはどうだろう。事業ごとに状況が違うので、求めている人材にも若干差がある可能性がある。

有価証券報告書ではわからないもの

大きく二つある。一つは、将来の計画。将来に関しては、「中期経営計画」を探してみて欲しい。ある年を起点に3-5年後の目標を記載した資料なので、今後の会社の方針を知るのに最適の資料だ。但し、これは公表義務がないので、出ていない会社も多数ある。その場合は、「決算説明会資料」の中を探すと良いだろう。名前の通り決算説明会で使う資料だ。

もう一つは、働いている方の雰囲気だ。これはOB/OG訪問してみるしかない。但し、当然OB/OGの方も会社の一部にしか関わっていないので、会社全体の中でどのポジションにいるのかを意識して話を聞くべきだろう。部署によって全く雰囲気が違うことが普通だ。

いかがだっただろうか。ここでは有価証券報告書に絞ってまとめたが、IR資料は会社情報の宝庫。色々探検をして、みなさんの企業研究に役立てて欲しい。