【筋肉文化比較論】日本、米国、中国のジムにおける生態系のそれぞれ

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国によって「筋肉文化」すなわち、筋肉に対する向き合い方、己の筋肉と会話をする時の作法が異なる。アメリカ、日本、そして中国でローカルの連中と筋肉と向き合ってきたぼくが、3カ国の「筋肉文化」について比較してみたいと思う。

アメリカの筋肉文化

アメリカの「筋肉文化」は”BIG”という一言で表現される。とにかくデカイ奴が偉いのである。そして筋肉の世界における神聖の地”フリーウェイト”ゾーンは「筋肉文化」を理解していないものは入ることが許されない場所なのである。

Spring Breakの前になると、ビーチに行くのか、水着がかっこよく着れるボディになるべく、普段は見かけない連中がジムにやってくる。

彼らはデカイ男が集まる神聖の地”フリーウェイト”の場所に来るのだが、己の筋肉と真剣に向き合う男達が発する圧倒的なオーラにより、その場を追い出される。BIGでない男にとって、フリーウェイトは敷居が高く、居心地が悪い場所なのだ。

アメリカの「筋肉文化」はとにかく”BIG”なのである。

日本の筋肉文化

一方、日本の「筋肉文化」は”ぼく健康に気を使ってますぅ”といった生ぬるい文化である。アメリカのように筋肉はとにくデカくあるべきであり、デカい奴が偉いという筋肉文化とは異なり、”健康的な身体”や”脱メタボ”を目標にする人間が多く見受けられる。

筋肉はそれほどないのだけれど、お腹はあまり出ていない、いわゆる”痩せマッチョ”な30、40歳代のサラリーマンや、会社の健康診断でメタボ判定を下され、生まれて初めてジムに来てみました、といった風体のイケてない40、50歳代のおじさんなどである。

日本のジムではこういった人達にもやさしいのである。「最初はつらいけど、続けて行けば、いいこと必ずあるから♪」といった視線のエールを受けることもある。これがアメリカであれば、指差しで笑われ、二度とジムには顔を出すことはないだろう。

中国の筋肉文化

さて、中国の「筋肉文化」はどうだろうか。現時点では少なくとも確率された筋肉文化は存在せず、有象無象の訳が分からん連中がたくさん集まる場所といった感じである。確立された筋肉文化がないために、こちらもどのように振舞えばいいのか分からず、困惑する事が多々ある。

フリーウェイトで大胸筋と会話をしていた時のことだ。ダンベルベンチプレスを数セット終え、ベンチに腰掛け、鏡の向こうにみえるパンプアップした大胸筋を眺めながら、次のセットに向けて集中していた。

ベンチの後ろの懸垂マシーンで白いタンクトップに太いシルバーのネックレス、ジーンズ、スニーカーを履いた頭ツンツンのおにーさんが懸垂をしているのが見えた。懸垂が終わるとそのおにーさんは突然キックボクシングのシャドーをはじめた。

決して広いとは言えないフリーウェイトの場所には隣とぶつからない程度のギリギリの間隔でベンチが配置されており、とてもではないがキックボクシングのシャドーをするスペースはない。

神聖な地で己の筋肉と真剣に向き合っている男達には気を配る気配もなく、ジャブ2本からのストレート、アッパー、そしてトドメのハイキックと、決めパターンを得意気に何度も繰り返している。おにーさんから少しベンチを遠ざけ、己の筋肉との対話を再開しようとしたその時である。

「ブッふぁぁっ!」

なんとお兄さん飛び回し蹴りをしている。これは想定外。
40キロのダンベルを持ってトレーニングをする私の横で飛び蹴りされた日には、集中して筋トレなんぞ出来たものではない。

勘弁してくれ、誰か注意してくれないかなと周りを見回すも、誰も彼の事を気にしている様子はない。

飛び回し蹴りが中国における「筋肉文化」なのだろうか。中国の筋肉作法をご存知の方がいたら、ぜひ教えて頂きたい。