旧正月の中華圏爆買いアイテム!500種類もの月餅を販売する「月餅王」に迫る

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◇山口 聖三:14歳で単身アメリカへ渡る。外資系コンサル、独立系戦略コンサルを得て、株式会社UNLOCK DESIGNを設立。UNLOCK DESIGN INTERNATIONALの代表取締役を兼務。米大学で知り合った中国系マレーシア人の妻と3歳の息子とクアラルンプールに移住。
◇連載『アジアのビジネスと教育』
アジアに住むなかで見聞きしたビジネスや教育の情報を発信する

月餅文化

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中秋節(旧暦8月15日)の約2ヶ月前、スーパー、ショッピングモール、ホテル、中華レストランに数多くの「月餅」が店頭にずらりと並ぶ。月餅は中国の伝統菓子。中国圏では中秋節の贈り物として、親しい人やお世話になっている人に贈る風習がある。日本のお中元、お歳暮のようなものだ。
中国から始まった月餅文化はマレーシアでも中国系マレーシア人を中心に一家で欠かせない一大イベント。「月餅王」がペナンにいると聞きペナンに会いに行ってきた。

月餅王の紹介

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Leong Yin Pastry Sdn. Bhd.の代表取締役社長 Dr. Leong Kok Fei (梁國輝)さんは月餅王として数々のメディアに取り上げられている有名人。

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マレーシア最大の蓮の実をベースとしたあん(ペースト)・月餅製造会社の他に「Sang Yoon Food Industry Sdn Bhd」という製麺食品メーカー、食品機械設備販売会社、「TTR Sdn. Bhd.(大東酒楼)」という飲食店など食に携わるビジネスを幅広く手がける。Leong社長はお会いする当日、社長自らがホテルまで迎えにきてくれたことに驚きを隠せなかった。ワンマン社長な威圧感あふれる人物かと思いきや、横柄さのかけらもなく、謙虚なLeong社長。月餅シーズンの忙しい時期に経営される老舗有名飲茶店 大東酒楼(蓮の実中華まん(蓮蓉包)でもっとも有名)でご馳走していただき、工場を見学した後、インタビューをした。

会社の紹介

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500種類にもなる膨大な種類を製造するLeong Yin Pastryは商品企画、デザイン、製造、物流、販売までワンストップで月餅を提供するODM(委託者のブランドで製品を生産すること)/OEMメーカー(委託者のブランドで製品を設計・生産すること)。 ハラール認証に加えて食品安全マネジメントシステム ISO22000(食品安全衛生を認証する世界で最初の世界標準規格)とHACCP(危害分析・ 重要管理点)など国際規格も取得済み。

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約65年前、祖父にあたる1代目が醤油の生産・販売したのが始まり。クイティアオ(粿条(棊子麺))、ホーファン(河粉)、ビーフンなども生産。Leong社長の父親が当時は食品を三輪車に乗せて半島側のButterworthまで売りに行ったという。その後、飲食事業(大東酒楼)を手がけるようになり、一旦ビジネスパートナーに売却。 その間、製麺会社も買取し事業を更に拡大する。約20年前に、Leong社長の父親が大東酒楼を100%買い取り、現在も経営を続いている。
Leong社長は7歳の時から父親に同行しビラ配りや販売など手伝いをしながら育つ。2代目は香港で中華点心(ペーストを含む)の作り方を修行し、約40年前にペナンに戻り生産を始めた。Leong Yin Pastryとして25年前に登記し生産を拡大していく。

現在は、世界15ヵ国に展開するマレーシア最大の月餅生産メーカーとなる。Leong Yin PastryはJAKIM(マレーシア政府のハラール認証発行機関)のハラール認証取得済。低糖低脂肪な健康重視な商品もある。五つ星ホテルチェーン、高級レストランチェーン、ペイストリーチェーンも含め、ODM/OEM先は500種類のラインアップから来年の月餅の味を選ぶ。 なかでも、コーヒー(モカ)味、北海道のり味、ティラミス、ベジタリアン、ドリアン、チーズ、ドラゴンフルーツ、クランベリー、サンバル(マレー料理によく用いられる辛味調味料)など。

3また、通年蓮の実をベースとしたペーストを出荷し、ペイストリー、中華点心(中華まんなど)、お菓子などに使われる。
新商品は海外を飛び回り、食べ歩き、また本やインターネットからインスピレーションを得て、社長自らが企画する。毎年20〜30種類の味が製品化されるが、アイディアが最終製品になるまで多くの試行錯誤がある。Leong社長は「探す努力を惜しまないこと」と話す。
そんなLeong社長は「Asia Entrepreneur of The Year」「Power Brand」「Creative Young Entrepreneur」など数々の賞を取る。

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月餅シーズンに間に合わせて半年以上前から準備する。生産ボリュームは一日あたり平均6トン。ピーク時には一日8トン生産する。生産の6割がマレーシアのローカル市場に対して残りの4割は国外に輸出する。出荷数量は一日あたり9千から1万個。フルタイムの従業員20人、ピーク時期には30人を超える。管理事務の10人以外は外国人労働者。最低限の人員で稼働するLeong Yin Pastryの社員教育について伺ってみた。

社員教育

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生産ピーク時期にはミャンマー人やネパール人の外国人労働者を雇用する。大半が基礎教育を受けていない。ミスや事故を防ぐため社内でじっくり時間をかけて研修ビデオを制作した。

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各機械の説明や操作方法をわかりやすく解説したビデオを10回も20回も繰り返し観せてわかるまで初めて現場に立てる。また、飽きないようテンポの早いBGMを使うなど工夫されている。また、ミャンマー語やネパール語など外国人労働者がわかるように機械の操作方法を機械のあたるところに貼りつける。

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マインドセットの共有やルールに従うよう各国のリーダーを決める。Leong社長は「社内の教育が全て」だと話す。

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昨年、公益ショートフィルム「微笑50」の製作もストーリーや構成作りに自らがコミットして長い期間をかけて完成させた。現在は日本をはじめ欧州各国など海外の販路拡大に翻弄する。
伝統を保ちつつ常にイノベーションに挑戦するLeong社長。月餅工場のオフィスは今日も受注の電話が鳴り止まない。

社名:Leong Yin Pastry Sdn Bhd リオン・イン・ペイストリー
本社:81, Jalan Patani, 10150 Georgetown, Penang, Malaysia.
工場:66 & 68, Jalan Industri Beringin, Taman Industri Beringin, 14100 Juru, Bukit Mertajam, Penang West Malaysia.
Web:www.leongyinpastry.com