英語を身に着けるなら原書にあたれ。日本の優秀な翻訳・出版業界の功罪

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「日本語が日本を衰退させる」

そんなタイトルの記事を以前読んだ。

“日本は戦後、世界でも稀な経済成長をとげ、アジア諸国の中でいち早く先進国入りした。日本の中間層が厚く、平均的な知的レベルが高いことの要因の1つとして、自国語で読める書物が多いことがあげられる”

“マレーシア、タイ、インドネシアなどアジアのほとんどの国では、専門書などは翻訳されているものが少なく、英語で読むしかない。そのため英語ができないと学問ができない。社会学、経済学、金融、物理学、化学などの分野の専門用語も自国語に翻訳されずに、英語をそのまま使う”

外国語の書籍が日本語で読めるから、英語を読む機会、及び必要性が少ないことが、日本人の英語力の低さにつながっているという指摘だ。

禿同である。ぼくも似たような経験をした。

翻訳本の功罪

中国在住中、友人の結婚式に参列するために日本に一時帰国したとき、大学留学時代の友人に一冊の本を借りた。マイケル・ルイス著の「The Big Short」という洋書である。

「The Big Short」は「世紀の空売り」というタイトルの翻訳本が日本で販売されている。もし僕が日本に住んでいて、容易にかつ低コストで翻訳本を手に入れられる状況であれば、果たして、300ページ以上ある英語の本を完読しただろうか?極めて怪しい。

上述の記事で紹介されている、東南アジアの知識層と、中国在住で、日本語の本へのアクセスが極めて悪い僕の状況は、奇しくも同じである。翻訳本がない。原書を読む、という選択肢しかなかった。

言葉は、英語にかぎらず、やらなきゃいけない状況に身を置かれると、自然と身につくものである。「日本語翻訳本」という選択肢がある時点で、”英語を読まなくてはいけない”という状況から逃れることができる。

優秀な出版業界の方々がせっせと海外の情報を日本語に訳し続けてくれる限り、これからも日本人の英語力は低いままなんじゃないかなぁ、と思う。

そんなことをThe Big Shortの映画を見て考えた。

The Big Short

「The Big Short」の映画が2016年3月に日本でも公開されます。しかし、映画よりも原作のほうが断然いいです。ぜひ書籍を読んでみてください。

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち

マイケル・ルイスの英語は、シンプルでわかりやすいです。ただ、金融系の知識が全く無い場合は、少しむずかしいかもしれません。まずは、翻訳本を読み全体像を掴んでから読んで見るといいかもしれません。こういうときには、翻訳本いいですね(結局洋書を読まないという結果になってしまうのかなぁ)。

The Big Short: Inside the Doomsday Machine

映画予告版(英語)

映画予告版(日本語)