【企業研究】御家騒動で大揺れ!大塚家具のような会社を見分けるポイント2つとは?

667

キャプチャ小川 修平:国内・外資投資銀行にて7年間投資銀行にて会社の買収売却(M&A)業務に関わる中で、多くビジネスや会社の実態を主に財務面から見てきました。その経験を活かし、わかりやすくビジネスや会社の見方を伝えます。株式会社UNLOCK DESIGN取締役。大分県生まれ。横浜育ち。子供3人

 

創業者で父親の大塚勝久会長(71)とその長女の大塚久美子社長(47)が骨肉の争いを繰り広げた大塚家具のお家騒動はまだ記憶に新しいのではないでしょうか。3月27日の株主総会をもって治まった今回の騒動ですが、2つのポイントを見るとなんとなく事態を予感させる状況がわかります。その二つとは、

  1. 株主構成
  2. 役員構成

です。

基本のおさらい

それぞれのポイントを見る前に、少し株主と会社、取締役の関係を少し整理しましょう。

株主とは、会社の持ち主です。会社(正確には株式会社)は設立時にお金を集めるのですが、その際にお金を出してくれた人に株を渡します。これが株主です。株主は、見返りに儲けを分けてもらえます。しかし、放っておくと会社の人がお金をちょろまかしたり、無駄なことに使ってしまう可能性があります。

そのため、自分たちが出したお金がちゃんと儲かるために使われているのかをチェックするために取締役という役職を社内に置いています。その親玉が代表取締役社長、いわゆる社長です。あまり身近なコンセプトではないですが、社長以下取締役の方は株主にサービスを提供していて、株主がお客さんなわけです。そして株主は社長含む取締役を解任できます。

よって、資本主義の世界での力関係は、株主>>>取締役(イメージ)です。「株主の言うことは、ぜったーい」です。

では、株主と取締役を同じ人物がかねていたらどうでしょう?これは絶大な権力になりますよね。極論、会社を運営する取締役の立場として何をやっても、株主としての自分がそれを許容すればいいわけです。これがいわゆるオーナー企業です。

では大塚家具はそれぞれがどういう状況だったのでしょうか。有価証券報告書の情報を中心に見てみましょう。

 

ポイント1:創業家一族の株保有割合が高い

上場会社が公表している有価証券報告書には、必ず「大株主の状況」というセクションがあるのでこちらをご覧ください。騒動が外部に伝わる発端となった、社長解任事件直前期末の株主の状況がこちらです。

Otsuka_株主1

赤枠で囲っているのが、創業家が保有している持分です。

「ききょう企画」というのは大塚家の資産管理会社になります。余談ですが、ちょっと聞いたことのないような名前の会社が大株主でいる場合、このように資産管理会社である可能性が高いです。

さて、創業家で30%超を保有していることがわかるかと思いますが、これがまとまって行使されれば会社の存続に関わる事項については概ね拒否権が持てる水準であり、非常に強力な影響力です。

今回の騒動では、大塚久美子社長側にききょう企画と彼女が引き込んだと言われるブランデス・インベストメント・パートナーズ(以下、ブランデス)が大塚勝久会長とその弟である大塚春雄氏の連合に対抗したと言われています。概ね20%前後で保有割合では拮抗していますね。今回焦点となった社長の解任・選任については過半数の賛成が必要となるので、残り30%の賛同を得るべく、両者がアピール合戦を繰り広げました。いわゆる「プロキシーファイト」です。残りの大株主である、日本生命などは企業として営利追求の使命があり、どちらが経済合理的な経営ができるのかをベースに判断するため、「こっちのほうが儲かるよ」というのが、両陣営のアピール合戦のポイントになりました。

ポイント2:創業家一族が取締役のポストを複数占めている

大株主の情報と同じく、有価証券報告書には必ず「役員の状況」というセクションがあるのでこちらをご覧ください。こちらは騒動が起こる前年の役員の状況です。Otsuka_株主2Otsuka_株主3

大塚一族を赤枠にて示していますが、大塚家の方と結婚した佐野氏も入れれば半数の取締役を大塚家にて締めています。会社の大きな運営方針について取締役会の過半数の賛同が必要になりますので、実質的に大塚家の意向を無視した経営は不可能ということがおわかりいただけるかと思います。

大塚家具は典型的オーナー企業

オーナー系大株主が取締役会という経営の中枢を牛耳っている状態が大塚家具のお家騒動の遠因となったことを公開情報の中からみてきましたが、このような経営体制はオーナー系企業の典型例であり、今回のお家騒動もそのような会社では起こりえます。自分の会社、就職先、転職先にこのような特徴がないか確認してみてはいかがでしょうか?

なお、大塚久美子社長はこういった経営者一族による経営体制の脱却を標榜しています。株主総会で大塚久美子社長陣営が勝った結果、取締役が大幅に刷新されているので、気になるかたは下記ご覧ください。

Otsuka役員_latest1Otsuka役員_latest2Otsuka役員_latest3Otsuka役員_latest4