【純ジャパの米国留学記】反抗期のやさぐれた疑問と一冊の本:第2話

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◇原田 拡敬:横浜の高校を卒業後単身渡米。中西部アイオワ州にある小さなリベラルアーツ・カレッジに留学し、経済学とコンピューターサイエンスを専攻。神奈川県生まれ、湘南育ち。テニスと旅行をこよなく愛する。Cornell College3年次休学中。
◇連載『純ジャパの米国見聞録』
アメリカのど田舎に留学し、日本とアメリカの「違い」を肌で感じた経験をつづる。

 

前回は現在籍を置いているアメリカの大学の環境について書いた。

なぜアメリカの大学に留学したのか

そもそもなぜ大学は一転してアメリカに留学したのか?僕は、高校までの18年間はずっと日本で教育を受けてきた。いわゆる純ジャパである。なぜ大学はアメリカなのか?

始まりは、ひとつの小さな疑問だった。

Googleでよくないか?

中学校に入学して少し経った頃、歴史の授業で「1192年に誰がなにをして、1204年には誰々がこれを起こして…」というようなことを先生が黒板に書いていたとき、僕は「そんなんググればいいじゃん…これわざわざ高い授業料払ってまで受ける価値あるのか?」と思っていた。歴史の授業だけでなく、ほかの授業も大体知識詰め込み型。中学受験してまでこんな授業を受けて、意味が無い。ゴールが大学受験ならばこれはもうどうしようもないことなのか? と僕は軽く日本の教育システムにうんざりしていた。

中学生にはありがちだと思うだろうか? 誰だって一度はそういうことを思うものだと? だが当時の僕には重要な問題だった。

ただでさえ高校受験がないので勉強するモチベーションが出ない。そんなところに、検索すれば済むようなことを授業で教えられれば、勉強自体に興味をなくすのも無理はないと思わないだろうか。

悶々とした日々、どんどん下がっていく成績、一度は学年165人中150位まで下がった。ただの落ちこぼれになりつつあった。

出会いは、一冊の本

そんなある日、一冊の本に出会った。

「レイコ@チョート校」

筆者がアメリカ東部にある名門私立高校に留学してからの学園生活をエッセイ式につづったものだ。

著者の岡崎玲子は帰国子女。8歳時までアメリカのカリフォルニア州に住んでおり、その後中国の広州での生活を経て、帰国。静岡県浜松市にある中学校へ入学する。中学校1年時に国連英検特A級をとっているという。スーパー才女だ。(Wikipediaから引用)

choate rosemary hall
Choate Rosemary Hall

本の中で、著者はチョート校で受けた歴史の授業について、こう書いている。

「世界史の授業で興味深かったのは、ただ事実を学ぶだけでなく「もしそうなっていなかったら……」というところまで頭を働かせて考えたことだ。」

例えば、「もしモンゴル帝国が、ロシアからアラスカを通じて北アメリカをも支配していたらどうなったと思う?」という問いかけを教授が出し、生徒が自分の頭で考えた意見をクラス全体でディスカッションするという。

自分が今受けている授業とは一線を画している。なんだか、とても嬉しかったのを覚えている。これこそが自分が求めているものじゃないのか?と。

教科書の総重量は10キロ

歴史上の特定の出来事についてディスカッションをするには、当時の状況を詳しく知る必要がある。 そのために授業前にこなすべき読書量が尋常ではない、ということも書いてある。実際、歴史の授業で読むべき教科書、文献の総重量が10キロを優に超えるという。かばんのストラップが肩にぎちりと食い込みそうだ。だが当時勉強自体にやる気を失って完全なるスライム状態だった僕には、それすらも魅力的だったのだ。

この時、自分の中に「アメリカに留学」というアイデアが生まれた。

元々は「タイトルがチョコレートっぽくて美味しそうだったから」という理由で読み始めたこの本が、まさか自分の人生を変える一冊になるとは思っても見なかった。

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◇連載『純ジャパの米国見聞録』
第1話:意気揚々とアメリカに降り立ったらコレジャナイ感が凄まじかった話
第2話:反抗期のやさぐれた疑問と一冊の本
第3話:日常の隙間に潜む「はい論破ー」(2015年9月29日公開予定)