◇常井裕輝:webコンサル、地域活性NPO、子育て支援、カメラ輸出、教育事業、メディアの立ち上げなどを経験し、現在文部科学省と産業界の協働プロジェクト「トビタテ留学JAPAN」を利用して東南アジアに拠点を移した半ノマドワーカー。水戸第一高等学校卒業。上智大学法学部3年次休学中。
◇連載:「飄々日記~東南アジア編~」大学進学を機に上京。物心ついてから大学入学まで海外経験なし。そんな彼が東南アジアで見たこと、感じたことの日記。茨城県水戸市生まれ水戸市育ち。

 

平日@マレーシア・クアラルンプール市内
8:00

起床してすぐ腹痛でトイレにこもる。きっと前日に飲んだお酒と、ドバドバとスプーン10杯分もかけたチリが原因だ。

9:00

仕事を開始する。朝の会議の準備をする。

9:30

日本とスカイプで打ち合わせ開始。オウンドメディアの会議を行う。

11:30

会議終了。 ふと隣にある本棚を見る。「考えるチカラ」という本が目に入った。他の本と高さが違うものだったので目に付いたのであろう。林俊介という方が著した本らしい。ページをめくるとこう書いてあった。

痩身白皙を、「痩せていて色が白い」、縷々説明を、「こまごまと説明する」と変えられていたのです。

新聞社では、豊穣という言葉も茫洋という語句も難しいとして言い換えをすることになっています。豊穣は単に「豊かなこと」、茫洋は「ぼんやりしているさま」とでも置き換えられるのでしょうか。

知性は、想像力の謂いでもあります。言葉を安易にわかりやすくすることは、想像する力、すなわち考える力を奪うことでもあります。

仕事中なので棚に戻したが、絶対また読もうと思う。

気分転換にシャワーを浴びる。二階の角にあるシャワー室。少し開いた窓から日の光が差し込み、青くほの暗い空間を視覚的に温めている。その時ふと思った。 「現在誰かがしていること、誰かが歩んでいる人生は、いつの時代かの誰かの理想の反映なのだろう」と。

飢えから解放された生活を送りたい、生死と隣り合わせでない生活を送りたい。そんな切実な願いもあるだろう。何か輝かしい経歴の人を見て、自らの理想と重ねる人もいるのだろう。憧れも似たようなものだ。そしておそらく輝かしい経歴を目の当たりにすると、その延長戦上に、素晴らしく充実した内面の精神活動や交友関係を想起するのだろう。イケメンや美女を見ると、すぐにリア充とイメージする論理と同じだ。しかし、そうとも言えない。

本人からすると、自分に達成できてしまったことはどんなに「凄そうな」ことだとしても「普通」なのだ。それゆえ、後から振り返り特別な充実感を味わうこともない。何かを達成しようともがいてる瞬間こそが、何かに対してマインドフルな状態こそが楽しく充実しているのだ。

そして、その充実したもがきの結果が履歴書に現れるような薄い一般化された文言である。本人からするとその結果、つまり「文字面」には何の価値もない。虚像である。マーケティングと言い換えてもいい。よく、中身のない人間は学歴や肩書きに拘ると言われている。現在が充実していないから、過去の「輝いていた時代」の自分を想起させる虚像にすがるのだ。

ここでまた、別のことが頭に浮かんだ。「一歩踏み出す」ということの意味だ。最近の日本の学生の中では、それは大方、学生時代からインターンをしたり起業したりということを意味する。アカデミックなどクソの役にも立たないと。

しかし世界には学校教育がそもそも確立していない地域もある。そこでは、学校に行くこと自体が一歩踏み出すことだ。学問が、自分の視野を広げ教養を深め人生を豊かにするからだ。

学問を軽視しビジネスが正義だという人は嫌いだ。人間を豊かにさせてきたのはビジネスではなく学問だ。ビジネスは戦争と言い換えてもいい。武力を持たない戦争。

ビジネスは人を幸せにするのだろうか。数値上は確かに幸せにするかもしれない。ものが増えれば幸せという指標はわかりやすい。しかし本当にそうだろうか?いくら産業が発展し、それに伴いビジネスが盛んになっても古来から人間が抱えている問題は解決していない。いや、むしろ増えているのではないだろうか。問題とまではいかない厄介ごとも増えた。何でもかんでも病名がつくようにもなってしまった。

戦後の日本の成功をわかりやすく象徴するものとして、今日のビル群と交通システムがある。素晴らしく綺麗な街だ。しかしその陰で、年間3万人もの自殺者がいる。何処かの国の内紛で3万人が死亡したと報じられればかなり多くの世論を喚起することになろう。しかし人知れず死んでゆく彼らは、華やかな世界の中で個人や組織と武力を交えず戦っている。

12:00

一人当たりGDPをよく見てみたら、日本は働くくせに全然稼げていない。もっともここ数年は上昇してはいるが。こんなことならヨーロッパに移住しようかとも思う。働き方なんていろいろある。 と、そんなことを考えていたら時間が経ってしまった。仕事に戻る。

12:30

今夜からシェアハウス「AWAY HOUSE」に泊まりに来るトリリンガルの女性のためにシーツを洗う。

13:00

マレーシアの表参道と呼ばれる地区をぶらつき、いい感じのランチを探す。 19RM(600円程度)のランチセット発見し、入る。

水槽とビリヤードがある。落ち着いた暗い感じでいい。火のついていない液体キャンドルはウィスキーを彷彿とさせる。金曜の昼からビリヤードに興じる若者。平和だ。ユニセフの募金を求める人も見かけた。この国では割と多い。マレーシアって支援対象国じゃないの?とそんなことを考えていたため衝撃。

レストランで伝統料理、ナシレマとバッファローウィング食べてたらゴキブリと遭遇し食欲が失せる。しかしなぜ昼間からビリヤード?仕事はないのだろうか。たのしそう。対して日本のサラリーマンは..などと考える。

13:30

チョコレート専門店「CASA CACAO」に入る。プロモーションがあるらしい。バニラマカロンとティラミスとキャラメルチョコレートとジャスミンティーで25RM(750円程度)。買ってしまった。自然に勧められて自然に。

14:00

日本と打ち合わせ。 HISや地球の歩き方の海外ボランティアツアーとかをみて頭がおかしくなる。いったい何がしたいのか。

16:00

打ち合わせ終了。一人で合宿の企画を作る。 今まで相当ニッチな、自分のような人間が対象の企画を作ってきた。そのため、今回のような自分が全くペルソナでない企画を作るのが難しすぎる。コピーを書いていて気持ち悪い。 途中で上司と合流。

17:30

仕事をあがる。上司とハウスに戻る。ハウスでビールを飲む。 知人の電子機器修理のやりとりを聞く。

18:30

夜ご飯を食べにぶらり外へ。あてはない。気分でシーシャ(水タバコ)とワインが楽しめる場所に決定。3人でシーシャ2本とワイン2本。くらっくらに酔う。ダイスでポーカーして勝ち続けるも最後に大負けし、ワインを一気に煽る。

21:30

2軒目にビリヤードをしに行く。その途中で「venue」といういい感じの店を見つける。服とボードが置いてあっておしゃれだ。

その隣のパン屋には、最高に美味しそうなケーキがあった。滞在中のコンプリートを胸に誓う。

目的の2軒目に着く。昼間ゴキブリを見つけたレストランだ。名前は「the social」。いい雰囲気のお店だ。ものすごく混んでいる。当然ビリヤードも混んでいる。ロングアイランドアイスティーを飲みながら待つ。待ったのち、開始。イギリス式ビリヤード。2ゲーム目はインド人とともにやる。いい調子だったけれどまさかの8落として負け。が、続行し全体的には勝った感じ。

23:30

退店、帰宅、いつの間にか寝ていた。

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◇連載『飄々日記〜東南アジア編〜

第1話:腹痛で始まった1日。学問軽視への疑問。
第2話:バーベキューとアニメな1日
第3話:ボルダリングに興じる、安寧の国の住人
第4話:コミュニティーが繋がり、世界が狭くなる。
第5話:純粋で特別な感情が減っていることの自覚

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